「スタジオ収録で、アツアツの温浴を再現したい」というオファーが、えん発酵温熱木浴の本部にあったのが、収録3日前。
当日素材を運んで、アツアツの状態までヒノキパウダーを発酵させ、その浴槽まで用意できる酵素浴サロンはほとんど無いと思うし、実際テレビ局の制作会社は色々当たったけど、どこも断られたとのこと。
せめて1週間あれば、余裕で準備できるが、3日という厳しい条件。
けれど、「頼まれごとは試されごと」ということを普段からスタッフに言っている以上は本部からの打診に「やってやりましょう!」とすべての担保の確認ができないまま、アホなことは承知の上で、プロジェクトがスタート。
まず、必要なのが浴槽。アクションプランを考える。
A案:猫足の洋風バスタブをレンタル
手っ取り早いが、話をもらったのが土曜日で土日にやっているレンタル会社がなく、雰囲気も違うということで却下。
B案:大工さん手配
プロが作るものなので、安心できるが、予算もなければ時間もなく、やっていただける大工さんは結局見つからず。
C案:自分たちで作る
A案、B案がダメだったのが日曜の夜に判明したので、制作は月曜の1日のみ。
さらに、スタッフの中にはDIYに長けているものはなく、いたとしても他の業務をしているので、変更もできないから、一番仕事をずらせる私が担当。
さすがに、小学生の夏休み工作のレベルの私だけでは心配と大阪本部から助っ人を出してくれた。
今回のプロジェクトで一番心配なのが、「浴槽が持つのか」と「発酵熱が上がるのか」という2点。
様々な方の協力で当日には耐久面を考慮した図面が上がり、ホームセンターで資材を購入し、浴槽を作り始めたのが収録前日の17時。
完成させ、準備を終えたのが24時。
当日は朝からスタジオに入れるスタッフ、当日準備だけ来てくれたスタッフのおかげで、定刻通りにスタジオに着いたが、発注していた世界的ECサイトA社からの品物がスタジオに届いていないことが判明。
事前に用意していた2台の平台車では心配なので、追加でオーダーしたものが、届いていない。。。
A社に電話し、配送業者と連絡が取りたいと伝えるも、「規定上できない」という謎回答ゆえ、届かないものと割り切り、代替案で、なんとか切り抜ける。
リハーサルでは、誰も入っていない平台車に載った浴槽だけが入ってくるシーンを撮り、出演者などの立ち位置を確認。
本当は本番で入るタレントさんにリハでも一度入ってもらえると感じが掴めるが、それもできずに本番を迎える。
収録中、ほぼ構成通りに進んで、よくイメージされる「時間押し」などは一切なく、時間通りにすべてが進んでいってるので、我々の出番で失敗は許されない空気。
ギリギリまで発酵させていたパウダーも問題なく温度が上がり、入浴されたタレントさんも「気持ちいい」とおっしゃってくれた。
入浴されたタレントさんとの事前打ち合わせもまったくないままだったので、忖度のない素直な「気持ちいい」にひと安心。
厳しい条件で断ることもできたが、「やってやろうじゃないか!」でやった事でまた一つ山が登れた気がする。
できることを確実にすることも信頼だが、できるかどうかわからないことをやり遂げることも大きな信頼を獲得することになる。